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里山再生
里山再生
田中 淳夫 著  新書y  定価777円(税込)
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 『「森を守れ」が森を殺す!』『伐って燃やせば「森は生きる」』など、過激な題名で知られる著者だが、これは実際には役立たぬ理想論とか、間違った発想に立った日本の森林への取組みへの指摘であり警告であって、内容は至極真っ当なものである。珍しく素直な題名の本書によって、この里山という言葉が案外新しく、広辞苑でも1998年版にやっと現れたことが知らされる。それは人里近くにあって人々の生活と結びついた山・森林」とごく簡単なものである。塾長も里山崩壊の状況を伝え、その再生を夢見てきた一人だが、最近は方々でこの里山復活を嘔う声が聞かれるようになった。

 著者はまず、里山こそ人による森林破壊の産物であること、いまやアマゾンとかボルネオの森も原住民の生活にもとづいて里山化していることを教えてくれる。問題の日本の里山が、いまや放置によって危機に瀕しているのだが、このまま放置していいのかと問いかける。たとえば、いま里山の一部である棚田の荒廃やスギ・ ヒノキ林の放置の現状、そこにモウソウダケというスギ・ ヒノキ林よりも極端な単一林が猛烈に繁茂している事実も知らされる。

 里山破壊のもう一つの原因として、ダムの問題も指摘される。ダムの貯水の影で河川の陸地化が進み、そこに移入種であるセイヨウタンポポ・セイタカワダチソウなどが繁茂して在来種を駆逐していった。また里山を象徴する昆虫や小鳥なども農薬の普及で姿を消していった。農薬の害は作物の面で強調されるが、むしろかつての田園風景を飾った昆虫や小鳥の現象が問われるべきである。

 また著者は、心ないハイカーたちも里山を汚し壊している犯人だという。このように、いま荒廃まっ只中の里山復活の妙手はあるのだろうか。著者は「環境教育の場」「癒しの場」としての里山の活用を勧め、いくつかの試案と実例を挙げているが、里山保全のキーワードとして、(NPOとしても)「そこそこ儲ける」ことだと言い、ほかいくつかの再生案を提唱する。

 一方本著は、「里山はゴルフ場が守る」とか、「焚火と山火事が森をつくる」「ホタルは清流には棲まない」「アユ放流が他の川魚を滅ぼし(ブラックバスやブルーギルなど)外来種のなどの拡散を促した」などなど、著者の面目躍如たる記述も多彩だが、21世紀私たち日本人の心の依り処である「 里山再生」こ  そ、我々みんなが取り組むべき最大の課題なのだ教えてくれる。
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