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またまた中国バブルに踊るのか?−その3
世界中を恐怖に陥れたSARSもやっと沈静化に向かいはじめたが、この病気がここまで蔓延したのには、中国政府の中央から地方まで浸透した前時代的な隠蔽体質と、信じられないくらい低い衛生観念にある。これも厚い覆いに隠されているが、月刊中国紙によると、この地で発症したHIVは発表された数よりもはるかに多く、そのほとんどは貧困な農民の売血が原因で、理由は採血する注射器の未消毒繰り返し使用にあるという。なにしろチャイナは、有史以来庶民(特に農民)が歴史の舞台に上がることは絶えてなかった。天皇から農民、はては売春婦まで登場する日本(万葉集)の有り方とまったく逆の世界なのである。
この国の異常さの内、もっとも大きいのは官僚の腐敗=不正・横領・贈収賄・奢侈・役得である。『天怒(上下 陳 放著』(発禁後アングラ出版物として200万部売れたという本)は、小説形式をとっているが、「江沢民VS北京派トップ陳希同」の抗争がモデルだという。 『天怒』の背景には、中国の抱える膨大な数の国有企業群とそれを食い物にしてきた官僚の存在がある。そうした守旧派と、民営化を断行して市場経済を推進しようとする革新派の軋轢は一段とエスカレートしてきている。もっとも、そうした民間企業に対しても、汚職官僚の(収賄・汚職)手は延びていいるのだから、予想以上に根の深いことをこの本は教えてくれる。
登場する多くの官僚やその家族のすべてが、これでもかというくらいあくどい方法で役得を重ねているかを知ったら、もし事実がこの1割だとしても、脳天気な日本企業がこの地で成功するのは「ラクダが針の目を通る」より困難だと悟るだろう。しかし、それでも「いままでうまくいっていた」という企業もあるだろう。だが、これはマージャンやポーカーだと思えば、さて最後に笑うのは誰か? いうまでもなく、設備・機械・ノウハウのすべてを接収できるチャイナであることは、自明の理である。
そうした中、WTO(世界貿易機構)加盟に見切り発車したチャイナにとって、腐敗と汚職の巣窟である赤字国営企業への対応を一歩でも誤れば、崩壊の危機が待ち受けている。失業保険も年金制度もないこの国では失業すれば路頭に迷う。もし国営企業がすべて倒産すると、日本人口に匹敵する失業者が生まれる。そうなればこの国の政府の存続すら危うくなる。
SARSによる経済的被害が拡大し、もしもこの国の「ドルペッグ制」が破綻して為替自由化が行われたとしたら、果たしてこの国は、いわゆる普通の国に呉して、安い製品を供給し続けられるだろうか。有利な固定為替に守られたこの国の製品安値攻勢は、世界総デフレ化を加速させるだけでなく、南米や東南アジアの国々に、失業者と倒産企業の増加のという被害を与え続けている。果たして許されるべきことだろうか。 (次号につづく)