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ここが変だよ 日本の論点−2
さて前号では、日・中(韓)問題をいささかワイドショー的に取り上げたので、今回は今まであまり語られてこなかった、地政学(geopolitics)に立脚した辛口の論点と視座で、日中問題を見てみよう。
かつてのランドパワー(内陸大国)というカテゴリーには、あのナポレオンが敗退した帝政ロシアおよび中国がある。ロシアは不凍港を求めて南下政策を取り続けて日本との確執で起きた日露戦争で挫折したし、ソ連は第2次大戦後、結局アメリカとの冷戦に敗れ去った。
一方の中国は、内モンゴル・新彊ウイグル自治区・チベットの占有、それにヴェトナム・インド・モンゴル・ロシアそれぞれとの国境部での紛争と、ランドパワーとしてその覇権をあらわにしてきた。しかもこの国は、共産党の一党独裁のままで市場主義経済を導入するという大胆な奇策によって、驚異的な経済発展を遂げてきたことは周知の事実である。
一方スペインやイギリスに代表されるシーパワー(海洋大陸)だが、大東亜戦争以後独立を果たした後の東南アジアそして軍隊を捨てた日本のこうした発展に取って代わられ、かつての地政学のモデル的シーパワー(海洋大国)は完全に陳腐化した。
さてスピックマン(オランダ→アメリカ)が唱えた、ハートランドに隣接する国が重要と説いたリムランド(近縁部)説を、海洋に面した縁辺地だと解釈すれば、(ランドパワーの国と位置づけられている)中国においても、その発展地域は上海・香港・深セン(サンズイに川)・広州・大連などすべて海洋沿岸部であって、いまこの国は内陸部とのあまりに大きい経済格差が問われていることは周知の事実のである。
このように見てくると、今やパワーポリティックおよび古い発想によるランドパワーあるいはシーパワーという発想もまた、殆ど過去のものになろうとしている。ウェブサイト<月刊「健論」>の中より「第2章 経済水域の幅」 第1図を90度左に反転させて日本をチャイナの上部に持ってきて見ていただくと、経済の発展から急増する原材料特に燃料を求めて狂奔し、外に出口を模索する中国にとって、日本という国が、いかに目の上に重くのしかかる暗雲以外の何物でもないことが一目瞭然であろう。
この地図を見れば、中国のガス田発掘から海底調査、潜水艦の違法侵入など、すべて出口を閉ざされた国のあせりと苛立ち以外のなにものでもないのである。しかも日本だけでなく、北はロシア、南では台湾・フィリピン、それにヴェトナムと、この国が外に向かって覇権を伸ばすことを防ぐ天然の防波堤がガッチリと形成されていることがおわかりだろう。 中国が台湾侵攻を謳い、日本の尖閣諸島・フィリピン・ヴェトナム海域の南沙諸島などを違法占拠するのは、単に海底資源の探査だけでなく、こうした包囲網を突破するねらいが隠されているからであって、中国がいまだに時代遅れのパワーポリティックにしがみついている事実に気付かねばならない。
いまや日本にとっての急務は、そうした見地に立脚して、粛々と海の防衛ネットならびに、海洋資源探査・発掘という「新シーパワー戦略」を構築していくことである。 残念ながら日本の政府・外務省、それにマスコミや識者は、「靖国」という対日カードに右往左往して、こうした地政学的認識が稀薄なのが現状である。今後も日・中両者間に起きる幾多の些細な事柄に左右され左右されたり、一喜一憂したりすることなく、根本的命題からブレないことが望ましい。なぜならお互い相手の非を咎めることの応酬ばかりが続けばいつしか、偏ったナショナリズムが醸成されていく恐れがあるのだ