「美しい国」を目指す安倍内閣誕生

 型破り・派閥潰しの一言居士・変人小泉首相の後釜として、多くの期待を背に、戦後生まれとしては最初という、フレッシュ総理大臣が誕生した。

 なにしろ最後までレイム・ダックになるどころか、抜群の人気を誇った小泉さんの後だけに、なにかと比較される損な立場だが、考えようでは5年余り、一種の帝王学としてじっくりその手法を観察してきたことも大きい。

 ソフトな外見に似合わず、拉致問題などでみられた芯の強さが受けて、党内でも国民の間でも抜群の人気で、賛同派・勝ち馬指向派が殺到、自民党総裁選では麻生さん・谷垣さんを寄せ付けず、一方的に大勝、麻生さんをして「幕が開いたら終わっていた」と言わしめた程である。

 こうして誕生した安倍内閣だが、報道各社の世論調査では、支持率70%で高発進、報道各社の世論調査によると、支持率が71%−63%という歴代屈指の高さとなったようだ。マスコミは、やれ「論功行賞内閣」だの、「同志仲間」だの、「順当地味」だなどと、いわばやけっぱちの論評をしているが、欧米では、内閣スタート3ヶ月はハネムーン期間として好意的な扱いをしているというから、日本のマスコミも、もう少しデリカシーが欲しいものだ。

 そうしたマスコミの世論調査でも、日経新聞の71%。政権発足時としては小泉内閣(80%)に次ぐ歴代第2位という高水準で、読売新聞も70.3%と、小泉内閣(87.1%)、細川内閣(71.9%)に次ぐ歴代3位を記録している。

 さて、あれこれ言われた内閣の顔ぶれだが、サプライズも何も、正直一般の人々には、その業績とか特徴を把握するのが難しい、いわば無名に近い人が多い。派閥の長にしてもその業績を知る人も多くは居まい。

 それは置くとして安倍政権の目玉は、官房副長官3人と、5人の首相補佐官だろう。曰く、「ホワイトハウス化の試み」(花岡信昭)であろう。詳しくは避けるが、霞ヶ関官僚の影響を排除する試みとして、首相としてのリーダーシップを発揮する布石として、その威力は計り知れないものがある。

 特に補佐官として、中山恭子(拉致)、世耕弘成(広報)、根本匠(経済財政)、山谷えり子(教育再生)、小池百合子(国家安全保障)という5名の首相補佐官には「う〜ん」と唸らされた。

 花岡信昭氏によれば、小池氏が安倍首相の主張する日本版NSC(国家安全保障局)構想を推進していく責任者となる。日本版NSCはCIA(中央情報局)のような情報、諜報機能も持たせたものとするという考え方もあり、これが実現すると官邸機能強化の最大の目玉となる。

 小池氏は昨年の郵政解散、総選挙で造反組に対抗する「刺客第1号」となるなど、情勢判断力の確かさでは定評がある。

 ただ不満なことと言えば、西村真悟氏が指摘するように、制服自衛官を官邸に配置することを見送ったのかと言うことである。国防と危機克服に際しては、自衛官が首相の側にいることが不可欠である。それには、平素から自衛官が首相官邸に配置されていなければならない。これは自明のことであろう。

 危機克服の体制を持たない国は、危機に際して国民を苦しめる。阪神大震災の官邸機能の麻痺が繰返されて良いのか。これでは「美しい国」になり得ないではないか。

 「国語力が不足している小学生に、英語教育は尚早」と断じた伊吹文科大臣と、山谷えり子補佐官のコンビには大いに期待したい。

 ただ一つの不満は、権益擁護の守旧派、松岡農相の就任である。果たして彼に日本農業の再生が可能だろうか。

 ともあれあとは性急にならず、安倍さんにじっくりと手腕を振るってもらうことを、温かく見守りたい。


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