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天網恢々 粗にして漏らさず
昨今の企業におけるモラルハザードはあまりに酷い。もっとも酷いと思うことは、すべてその悪事が発覚しているからで、まだまだ知られないまま不正の多くが残っていると思えば背筋が寒くなる。
「天網恢々(てんもうかいかい)」、最近古くて含蓄(がんちく)のある言葉が死語化している風潮に棹さして、あえてルビならぬカッコ付けで多用することにしている。言うまでもないが広辞苑(さらに意訳する)によると、(老子七十三章から)「天が張り巡らせた「是非曲直」を正す網は、その網目が広いものの、悪事を見逃すことはない」というものである。
昔は「密告」と言って一種の恥という思いのあった「内部告発」が、最近では正義の味方というような趣に代わって、あらゆるところで企業の悪事?告発に貢献?している。ここでの?だが、個人的考えとして、(白い恋人・赤福それに横浜崎陽軒など)(私見では)必ずしも悪事とは言い切れないものもやり玉に挙がっているのであえて付けたものだ。さてそうした偽装問題だが、
食品関係で主なものだが、
◎日ハム輸入牛肉の偽装問題
◎ミートホープ社の内容表示虚偽
◎比内鶏
◎船場吉兆
などなど
建築・構造物では
◎(姉歯・ヒューザー・木村建設などが絡んだ)耐震強度偽装
◎二チアス・東洋ゴムの防火建材の偽装
◎栗本工業の高速道路用「パイプ形鉄製型枠」の強度偽装
などとなっているが、誰が考えても「建築・構造物」の虚偽の方がはるかに罪が大きい。
ところが、なぜかマスコミの取り上げ方は、食品関連の報道に終始しているのはなぜなのだろうか。多分幾分だがコマーシャルのスポンサーが絡んでいるのだろう。そうすれば偏向報道で公正な姿勢ではない。こうなれば弱者蔑視が明白である。
さて今回の二チアスの偽装問題では、住宅を中心に全国の10万棟で使われたとされており、その補償の出費を主として今期は合計155億円の赤字だろうと報じられた。おそらくその他のこうした偽証事件を起こした企業は、折角偽装で得た利益を遙かに超える赤字や損害、信用失墜というしっぺ返しを受け、ミートホープや比内鶏は、倒産の憂き目にあい、結果として「虻蜂(あぶ・はち)取らず」になっている。
おそらくこうした偽証工作の多くは、まだ内部告発が一般化しない時期に仕組まれたのだろうが、そのままズルズルと深みに嵌っていったのだろう。げに恐ろしきは「内部告発」という天の声である。巷間「天知る 地知る 我知る」という言葉があるが、我の中に会社の者も含まれるのだ。
こうした偽装事件の中で、もっとも罪が深いのは、なんといっても姉歯が絡んだ耐震強度偽装問題である。これには内部告発という「天の声」が届きにくいのだが、地震大国の日本で、悲惨な大事故を招きかねない重要な問題を無視した、姉歯とその背後にあって彼を悪事に引き込んだ悪徳業者の行為は、モラルハザードなどという言葉では律しきれない、死をもってしても償い切れない重大犯罪だと謂わねばならない。
それに対して、なぜかマスコミはその後一転口を閉ざすかのようにこの問題を取り上げていない。前回も指摘したが、今回「餃子の横浜崎陽」の表示ミスなど、量の多寡による記載順序を違えているという程度の二ヤミスまであえて報道するなど、よほどニュースに困っているのか、まさに常軌を逸している。
最近ようやく「賞味期限」の再考慮が考えられているということだが、そろそろ行政の無用な介入や、(農水省VS厚労省の)縄張り争いは、いい加減にして欲しいものだ。
さて最近日本文化の最たる「モノづくり」の世界で、悲しいことにモラルハザードが横行しているのは何故なのか。
すべてとは言えないにしても、その多くはトップやその周辺に、「モノづくり」に無縁な人たちが増えて来て、品質よりも、利益や株価を優先する企業経営が増えてきたことが要因になっているのではないだろうか。たとえば最近話題の所得格差においての、パート・派遣社員などの労働者賃金抑圧なども、同じ路線での現象と言えるかもしれない。その点で、しかるべき筋による精査と改善が待たれる。
いずれにしろ、企業の良心ではなく、内部告発が怖くて法制遵守とは、あまりいただけないが、それでも不正跋扈(ばっこ)の歯止めになるとしたら、いささか寂しいことだが、まあここは眼をつぶるべきかもしれない。