けん玉教育のすすめ

 4月18日(金)私たちの勉強サークル「広島雑学アカデミー」のゲストスピーカーとして、「けん玉」ボランティア活動で、国内では幼稚園・保育園・小学校から老人ホーム、それに世界中駆け回っている今田弘武(ひろむ)さんをお呼びした。

 剣道4段でもある今田さんは、一見痩身ながら、尺八もお上手で背筋がシャンとして姿勢がよく、ハキハキした話しぶりで「けん玉」に対する思い入れが強く伝わってきた。

 今田さんは、地元の中国電力の電気技師職として、また新入社員の研修・指導に携わり、昨年定年退職された方で、たまたまある年、新入社員が特技として「けん玉」を披露したことからその奥深い魅力にのめり込み、現在では日本けん玉協会公認の「けん玉」8段、広島総支部長という要職?にある。

 私の子どもの時代には「日月ボール」と呼んで夢中で遊んでいたものだが、現在はその他凧揚げ・独楽回しなどの子供競技と同じく忘れ去られた存在だとばかり思い込んでいたのに、こうした形で活躍していることに驚いた次第である。

 今田さんは、日本だけでなくモンゴル・ケニアそれにアメリカやイギリスでもけん玉の普及活動をしているそうで、特にモンゴルでは熱心なファンが増えているそうだ。話では日本では特に親が冷淡で、すぐに危険だと取り上げるそうで、この分では相撲と同じく、けん玉選手権もその内にモンゴル勢に独占されるかもしれない。

 たとえばアメリカやイギリスでも、頸にボールと本体を振り分けに掛けて歩いたら興味と好奇心の目が集中し、実演などすればすぐに人だかりが出来て、「売って欲しい」と迫られるそうで、日本とは大違いだそうだ、

 私もけん玉はいわゆる玩具だと思っていたのだが、実は公認のゲーム用があり、企画は厳密で、プレイヤーお気に入りのブランド品もあるらしい。当日は出席者の実演会があったのだが、子供時の思い出としてはそこそこ自信があったのだが、どうしてどうして、下にぶら下げた玉を一番大きな皿に乗せることすら覚束ない。

 けん玉のコツは、膝の屈伸と受け方の柔らかさだが、当然正しい姿勢と集中力が大切で、特に運動不足で集中力散漫な今の子供たちにとって、格好の教育用具だと今田さんは言う。

 当日出席者もなつかしさ半分で我先に買っていたが、競技用だと言っても1000円余りと安いものだ。ところがそれを高いという母親がいるというのだから驚く。そんな親ほど、高いゲーム機や塾の費用を惜しげもなく支払っていることだろう。

 実はこのけん玉、文科省の指定遊具になっているそうだが、広島市の某小学校では、危険と言って今田さんたちのボランティア活動を禁止させられたそうだ。子供事だから注意してもつい振り回して、ボールが生徒のどこかに当たったからだという。

 戦後教育の中で、こうして危険という一種の教育を取り除いてきたために、倒れるときに腕で防御する事が出来なくて、頭をぶっつけてしまう子供が大量生産されることになる。養老孟司先生ではないが、「かくして鉛筆もろくに削れないような外科医に、手術をされる運命になった」のである。

   こどもの日 菖蒲(尚武)は遠く なりにけり

 今の日本の教育に最も必要なことの一つは、「これは危険だからのように用心しよう。対処しよう」という視点が完全に欠落していることの是正ではないか。

 ネット上で得た平成18年8月28日の教育ニュースとして、

 けん玉を体力アップに/キャラバン隊が遊び伝授−文科省けん玉で体力アップをとして、

 文部科学省は二十七日、身近で手軽な遊びを子供の体力づくりにつなげる新たな取り組みを始める方針を決めた。昔懐かしい遊びや、手軽に楽しめる「ニュースポーツ」に詳しい人たちで結成する「キャラバン隊」が小学校を巡る。二○○七年度予算概算要求に関係経費を盛り込む。

 一般には、スポーツであるとの認識が薄いけん玉だが、バランス感覚が必要で、腰やひざなどの全身運動になるという。缶を遠くに飛ばしたり、鬼から逃げ回ったりする「缶けり」などは、遊び方を知っている子供すら減っており、こうした遊びの「復活」で、体を動かす楽しさを伝える。(中略)

 隊には、日本レクリエーション協会などの関係者のほか、それぞれの遊びのエキスパートに参加してもらう。○七年度は全国の小学校計十八校に出向いてもらう予定で、文科省は「スポーツを楽しむきっかけにしてほしい」(生涯スポーツ課)と期待している。


 とある。 また近代日本での普及のについては、

 けん玉は日本で遊ばれる玩具。 広島県廿日市市が発祥の地と言われている。大正時代に考案された「日月ボール」が発展したものとされる。

 文章で書くとわかりにくいが、写真で見るとすぐにわかる単純な造形である。
       けん玉(ウイキペッディア)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%91%E3%82%93%E7%8E%89


 広島県廿日市市というのはうれしいが、おそらく宮島のシャモジを作る傍らに、造ったのかもしれない。 材料はボールが桜材で、本体はブナだということで、今田さんは、主生産地は山形県だと言っていたが、これはコケシの生産にも関係があるのだろう。

 私など皿に乗せるだけ四苦八苦の段階だが、高度な技には「世界一周」とか、とても人間業とは思えぬ位だが、それを超えるウルトラC級の新しい技が次々と生まれているらしい。

 その今田さんは、その生き生きとした目が支えになるということで、今は小学校よりも幼稚園・保育園訪問に力を入れているのだという。

何でも昔の子どもたちは1日平均2万歩以上歩いていたそうだが、今は半分の1万歩程度、すぐに疲れた、大儀い、だるいという子供らしからぬ肉体的・精神的ひ弱さが指摘されている。そうした子どもたちに、練習によって技が増えて成果の見える「」けん玉」は、格好の用具だといえるだろう。

 広島の中心街、パルコの裏手に、アリスガーデンという広場がある。数年前まで、広島では暴走族が我が物顔に振る舞っていたが、警察の強力な締め付けで、ほとんど解散してしまったのだが、その後このアリスガーデンに、中・高生らしい男女がたむろすることになった。

 今田さんはここでけん玉の実演をしていると、彼や彼女が寄ってきては、問わず語りにほとんど顔も合わせない父親、一切話を聞いてくれようとしない母親への愚痴をこぼすのだという。話してみれば素直で、ごく普通の子どもたちだそうだ。

 ところが昨年だったか、(今期3選された)A広島市長が、ここに集まる子どもたちを一斉に排除する策に打って出た。今田さんも顔見知りの警察官から排除され、今度また此処にいたら逮捕すると言われる。

 今田さん曰く、「ハエを追っ払うだけでその原因を除かないで、いい世の中になるはずがない。原因はむしろ両親にあるのに〜」

 先日たしか産経新聞で、「親学」の必要性を説いた記事を見たが、こうしてみると子供をひ弱にする元凶は案外親だといえる。朝食を食べささない親、給食費を払わない親、甘いドリンク、ジャンクフードばかりの食事、教育改革の難しさと幅広さを痛感すばかりである。 「まず「けん玉」は、親から始めよ!」なのか。


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