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F22導入は潔く諦めなさい!


■□ 地政学は新兵器出現で陳腐化する

 以前も書いたことだが、明治維新の際日本は近代的軍隊を構築するに当たって、進んだ西洋文明の導入を急ぐあまり、地政学を学ばなかった、あるいは地政学そのものを知らなかったふしがある。

 すなわち日本は、その地政学的立地に配慮することなく、結局当時最強といわれた西洋列強の陸軍および海軍を手本にする、というより模倣するという手段を選んだ。

 当初陸軍はフランス式、海軍はイギリス式を採用してきたが、1870年そのフランスがプロシア(プロイセン 1871年ドイツ帝国に統一)に大敗したことから、一転ドイツ陸軍を範とするようになる。ちなみに新たに制定された大日本帝国憲法もプロイセン憲法をモデルにしたものである。

 そのあたり、詳しくは以下参照
 ⇒ http://joumon-juku.jp/kaiyou/05.html

 時代は下がり、大東亜戦争において、当初日本の空軍力が真珠湾ついでマレー沖で大きな成果を上げたにもかかわらず、依然として「大艦巨砲主義」という亡霊を神聖視することで、いたずらに乏しい国費を浪費し続け、しかも制海権という意識も、制空権という思想に立脚した立軍思想をまったく欠如したまま、いたずらに陸海軍がそれぞれ勝手に戦略を立てて、みずから崩壊の道を辿ったのである。
 
 さて、地政学は新兵器と連動しているという点だが、第一次世界大戦に当たって機関銃が実用化し、戦車と航空機ののプロトタイプが出現した。また要塞攻撃のための大口径臼砲が活躍した。

 たとえば日露戦争において、日本軍の採用した機関銃があの勇猛なコサック騎兵を無力化し、乃木将軍が多くの犠牲者を出しても落とせなかった203高地を、日本防御のために設置していた大型臼砲を取り寄せた児玉源太郎将軍が、その威力で短期間にこの難攻不落と思われた203高地要塞を落城させている。
 
 第2次世界大戦では、航空機や戦車と共に潜水艦が大活躍したのだが、終盤ドイツが開発したV1・V2ロケットがロンドン市民を恐怖の底に突き落としたことは有名で、戦後アメリカが、そうした科学者を多く亡命させたことで、その後ミサイル発展の礎(いしずえ)を築き、湾岸戦争からイラク侵攻作戦においてのミサイル活躍の経緯を見れば、航空機の時代からミサイルの時代に完全に移行したという事実を認めざるを得ない。

 しかもそのヴァリエーションときたら、「地対地」といっても、弾道ミサイルという戦略的兵器から一人用のロケットまで網羅され、その他「海対海・海対空(地)・空対空(地/海)」など無限と言って良いほど多様性を誇っている。

 ミサイルの出現は、ある意味でかつての意味での「制海権・制空権」という地政学上のカテゴリーを陳腐化させたと言っても言い過ぎではないであろう。


■□ F22は高価なオモチャ?!

 前置きが長くなったが、そうした環境下において日本の防衛省は、現在の主力戦闘機F15/F2の後継機として、F22ラプターの導入を熱望していた。

 さて経済環境も最悪ないま、果して1機150億円ともいわれる高価なF22ラプターを、すんなりと採用していいのだろうか。しかもそれをお決まりのライセンス生産すれば、ゆうに200億円を超えることすら予想されるだろう。

Fー22 ラプター
     最後の有人航空機 ステルス性 Fー22 ラプター

 たしかに同機は、最後の有人機といわれる高性能を誇るステルス機で、1機でF15/16/18などの現役配備中の米名戦闘機を相手にした模擬空中戦の結果、「144対0」「241対2」という圧倒的な実力を示したよいう桁はずれた実力を持つ名機であることは否定できない。

 ここで考えるべきことは、この「最後の……」という点である。これは航空機がこれ以上の能力を持てば、人の力では操作不能であるという、ギリギリの限界点を意味している。つまりそのくらい同機は、パイロットに過酷な精神的・体力的消耗を強いることになる。すなわちパイロットのちょっとした体調不良や判断ミスによって、貴重な人命と高価な機体を同時に失うことになるのだ。

 現在アメリカに於いては「(21世紀の)フューチャー・ウエポン」として、陸・海・空のそれそれ無人兵器の開発に取り組んでいる事実を知る必要がある。その前提としては、イラクにおける予想外の人的損傷が発端となっていることは疑いない事実であろう。

 さて日本の航空自衛隊は、一体そうした高価なF22を何機導入したいと言うのだろうか。ここで述べた課題以外にも、日本では「秘密情報保護」という観念すらなく、しかも専守防衛という大きな制限を受けた中で、この高価な航空機を一体どのように運用しその能力を生かすという、総合戦略的要素を持ち合わせているのだろうか。

 第一いざ(仮想敵国からのミサイル攻撃を受けた)という時に、高価な航空機を避難させるための、安全な避難壕を持っているのか。ただ子供が新しい高価なおもちゃをねだるように、安易な正面整備だけに固執する愚だけは避けて欲しい。

 仄聞するところでは、F22のステルス性を高めるための塗料は日本の中小塗料メーカーの製品で、「一切他の企業には占い」という契約になっているのだという。

 勿論ステルス性を高めるためには、日本のお家芸であるチタン加工技術、複合材としてのカーボンファイバーなど、日本発の技術が満載されているのだが、それ以外にも表面に受けたレーダーを乱反射させるための空気力学上の技術など、むしろ日本の得意分野はいくらもある。

 問題はむしろ、「武器輸出三原則」とか「専守防衛」、それに「シビリアン・コントロール」などという、軍事的研究を阻害してきた多くの制約から、あたら「宝の山」をたくさん持ちながら、それを有効に生かし切れずにいる現実からの脱皮が必要だが、さて誰が猫の首に鈴を付けるというのか。


■□ F22代替機としてのF35

 最近の報道によると、

「浜田靖一防衛相が今月1日に訪米した際、ゲーツ国防長官から戦闘機F35の導入を打診されていたことが23日に分かった。会談では、防衛省が最有力候補にしてきた最新鋭のステルス戦闘機F22について、ゲーツ長官が禁輸条項を理由に輸出は困難と説明した。米側がF35購入を強く促したことで、F22の導入は困難な状況となった」

とある。


 ここでは、防護用避難壕など後方面の充実はひとまず置いて、代替案としてアメリカ国防省より提案されたF35とはどんな航空機だろうかみてみよう。

 このF35は、たしかに性能的にはF22にやや劣るが、ステルス性に優れた次世代機であり、通常の陸上発着型(A)と、短距離離陸(艦)垂直離着陸(艦)タイプ(B)、それに通常空母発着型(C)という三タイプがある。しかも米英二国の5軍に大量採用されることもあり、F22に比べて価格が格段に安くなっている。

Fー35ステルス戦闘機
  短距離離陸(艦)垂直離着陸(艦)タイプ(B)もある Fー35ステルス戦闘機 

 気になる調達価格だが、「F35の情報サイト」によると、 
 ⇒ http://www.f5.dion.ne.jp/~mirage/hypams06/jsf.html

 A型34億円 B型 42億円 C型46億円
(但し120円/ドル換算)

で、これを現在の(100円/ドル)に置き換えると、A型28.3億円 B型35億円 C型35.8億円となり、単純計算では、F22の1機分でA型機なら5機、B型で4機は購入出来ることになる。 
  
 前号における前空将佐藤守閣下の指摘のように、カットにカットを強いられて来た防衛費の実情を考えるとき、いたずらに乏しい予算をがぶ飲みにする高価な支出を避け、より高度な戦略的見地に即応した「かしこい買い物」をすべきであろう。

 それについて、以下提案したい。


日本型空母配置とF−35B型機の導入すすめ

 ここで提案するのは、日本の国情に即した「小型空母」の採用と同艦搭載のF−35B型機の導入・配置である。離着陸する場を選ばず、しかも時速1170kmという超高速で飛行することが出来るという優れものの組み合わせは、長い海岸線を持つ日本に於いては、常時近海を遊弋出来る航空機搭載艦として、その存在ほど心強いものはない。

 これなら勿論専守防衛策に違反しないし、仮想敵国に対しては強力な抑止力となり、いざというときには強力な積極的防衛力を発揮できる。なにしろすぐお隣に、長距離ミサイルを持ち、地下核実験を断行する「気違い国家」と、毎年2桁以上の軍事予算をつぎ込み、空母建造を公言し、原子力潜水艦による領海侵犯を繰り返す独裁国家を持つ日本である。

 いまこそ単なる虚仮威(こけおど)しではない、真の戦略的プレゼンスとして、可及的速やかに同艦の建造・配備を3〜5隻、早急に配置するプランを実行して欲しいものだ。


 実は以下のサイトによると、 
http://google-earth-travel.net/mercury/0707290001.html

 「海上自衛隊の護衛艦としては最大級のヘリコプター11機を搭載できる初の「ヘリ空母」の建造が横浜市の工場で進んでいる。

 新型護衛艦(16DDH)は、全長195メートル、全幅33メートル、基準排水量1万3500トン、速力30ノット (中略) 艦首から艦尾まで貫通甲板を備え、艦橋は右舷側に配置されている。ヘリ4機の同時発着が可能で、甲板前後に設けられる大型エレベーターでヘリを艦内の格納庫に運搬、整備をすることもできる。
格納庫には8機収納が可能。

 8月23日に進水、その後防衛省で艤装後平成21年に就航予定で、おそらくハリアー等の垂直離着陸機も装備できるはずだ」

とある。特に潜水艦対策にも抜群の力を発揮する空中ホバーリング可能な同機の採用は、その対艦・対空・対地ミサイルによる打撃力を併せ、「非核化」をモットーとしている日本にとって、戦略的・戦術的にまたとない戦力になること請け合いである。

 、同機の採用を決めた英海軍の軽空母(たとえばインヴィンシブル)は、強力なカタパルトを持たないため、艦首部分の甲板が上向きに反っていて、離艦を助ける形状となっており、全長210m・排水量(基準)20500トンだが、日本の新型護衛艦(16DDH)よりややが、短距離離艦を含め、ここで挙げた希望積載機数であれば十分であろう。


英国軽航空母艦 インヴィンシブル
    英国軽航空母艦 インヴィンシブル


 もっともその場合日本でも、その形態の採用と垂直着艦するときに噴射口を下向きにすため、その高熱に耐え得る対策は必要となるだろう。

 ちなみにシー・ハリアだが、1982年のフォークランド紛争時。領土奪回をかけた戦いで、イギリス軍はアルゼンチンの超高速戦闘機ミラージュ200機に対し、インヴィンシブルを母艦としたシーハリアー28機のみで戦った結果、空中戦で撃墜されたミラージュは21機。ハリアーは1機すら失われなかったという実績を持つ。

 F35Bはその後継機だから、その潜在的能力は推して知るべしであろう。

 さて同プランだが、少なくともヘリ専用艦を別にするよりも、数機ずつ一緒に搭載するとして、3〜5隻の同型空母の建造と、併せて2〜3機の空中給油機セットとして提案したい。


 ともかく防衛省さん、駄々っ子みたいな「無い物ねだり」は止めて、より現実的で効果的な、しかも戦略的適合性のある武器導入の選択をしましょうよ。

 ではF-22に匹敵する仮想敵国機が出現した場合だが、そこは集団的自衛権の承認と「思いやり予算」の代償として、アメリカ空軍の出番を待つべきであろう。

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