やっと姿を見せてきた先祖たち

 今まで「考古学」という私たちの先祖の営みを調べる学問は、書斎にこもることなく、不便な現場で泥まみれになりながらコツコツと土いじりする、きわめて地味で報われることの少ない反面「足が地に着いた学問」でした。
 その後今度はなんだか薄暗くて我々に縁遠い学問の世界に入ってしまっていました。

 こうした状況に変化が見え始めたのが佐賀県の「吉野ガ里」に、弥生時代の大型遺跡が見つかって住居や高楼が復元されたことから一躍世間の注目が集まり、われわれの先祖の生き様に触れようと、半分観光気分での視察が殺到しました。
 その後極わめつけともいえる青森県の「三内丸山遺跡」(約5500年から4000年前の縄文遺跡)の全容が明らかになるにつれて「考古学ブーム」ともいうべき熱気が日本中を覆いました。考古学者の中には、こうした空気をひややかな目で見たり、あからさまに批判する声もあるようです。しかしここは、私たちの先祖の営みを身近にしかもヴィジアルに接することで、いま失われようとしている日本人のアイデンテイテイが甦るとしたら、大いに喜ぶべきことではないでしょうか。

 今日本はバブル崩壊後、あらゆる面で自信と目標をを失って意気消沈しています。その後島根県の銅剣・銅鐸の大量発見のニュースなど、日本の神様が今の日本人に『おいおい元気を出せよ。日本人って昔からこんなにすごかったんだぜ。』とすばらしい証拠をこれでもかと私たちの前に見せつけて下さっているのだと、私は心から信じているのです。


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